第一種電気工事士試験について

「電気工事士」は電気設備の工事や取り扱いの際に必要となる国家資格です。
第一種電気工事士は一般用電気工作物に加えて、特殊電気工事を除く自家用電気工作物(最大電力500kW未満の需要設備)の電気工事に従事することができます。
高い知識と技術が求められるため、第二種の受験者数約15万人に対して、第一種は受験者数約4万人と受験者数が大きく減ります。
ですが、第二種電気工事士からのステップアップとして受験される方が年々増加傾向にあります。
このページでは、第一種電気工事士の仕事内容や資格の取得方法、おすすめの試験対策方法をご紹介します!

1.第一種電気工事士の主な仕事

第一種電気工事士で従事できる電気工事について

第一種電気工事士は、低圧で受電する一般家庭や店舗など小規模施設の屋内配線設備の工事に加えて、
ビルや工場など大型施設の高圧受電設備のような自家用電気工作物
(特殊電気工事を除く、大電力500kW未満の需要設備)を対象とした電気工事にも従事することができます。
仕事内容として代表的なものは、大型施設の高圧受電設備や変電設備、動力設備などの電気工事です。
第二種電気工事士よりもさらに電気保安の業界で幅広い活躍ができるようになります。


電工試験の虎ユーザーに聞いてみた第一種電気工事士試験の受験する理由

電工試験の虎アンケートにて第二種電気工事士を取得後に第一種電気工事士試験の受験を検討されている方に、受験する目的・理由を聞いてみました。

取り扱える現場を増やしたいため。

転職しようと考えているから。

認定電気工事従事者の申請をするため。

2.実務経験と定期講習について

第一種電気工事士と第二種電気工事士の違いは従事できる電気工事の範囲だけではありません。
第二種電気工事士は、試験合格後に免状を発行すればすぐに電気工事に従事できます。
また、免状取得後の定期講習などもありません。
ですが、第一種電気工事士は、免状を取得するには実務経験が必要だったり、
定期講習を受ける必要があったりと第二種とは異なる点があります。
受験する前によく確認しておきましょう。


第一種電気工事士は免状の取得に実務経験が必要

第一種電気工事士試験の合格者は免状を発行するにあたって電気工事の実務経験が必要です。
実務経験に関する詳細は第一種電気工事士試験の受験案内にて詳細が記載されています。
実務経験の証明書に関しては免状申請を行う各自治体のWEBサイトにてご確認ください。

【実務経験の対象となる電気に関する工事】
1.電気工作物に該当する電気的設備を設置し、又は変更する工事(自ら施工する当該工事に伴う設計及び検査を含み、キュービクル、変圧器等の据え付けに伴う土木工事及び電気機器の製造を除く。)
例:第二種電気工事士として行う一般電気工作物に係わる電気工事
  認定電気工事従事者として行う最大電力500kW未満の需要設備の低圧部分に係わる電気工事
  最大電力500kW以上の重要設備に係る電気工事
2.経済産業大臣が指定する第二種電気工事士養成施設において教員として担当する実習

【実務経験の期間】
上記の工事に3年以上従事する必要があります。
ただ、試験合格以前の実務経験も対象となるため、合格時にすでに実務経験を満たしていれば、すぐに免状申請が可能です。

【実務経験の対象にならない電気に関する工事】
1.電気工事士法施行令で電気工事から除かれる「軽微な工事」
2.電気工事士法で別の資格が必要とされる「特殊電気工事」
3.5万V以上で使用する架空電線路に係わる工事
4.保安通信設備に係る工事

ただ、簡易電気工事(電圧600V以下で使用する自家用電気工作物に係る電気工事)については、
試験合格後に各地域の産業保安監督部長に申請すれば、工事資格(認定電気工事従事者認定証)を取得でき、 自家用電気工作物の低圧部分の電気工事の作業に従事することができます。


第一種電気工事士は5年ごとの定期講習を受ける義務がある

第一種電気工事士は5年ごとに定期講習を受講する義務があります。
指定の期間内に定期講習を受講しないと電気工事士法の義務違反となり、
都道府県知事から免状の返納を命ずることができるようになります。
返納を命じられてしまうと資格が失効してしまいますので、電気工事の従事の有無に関係なく定期講習は受講しましょう。
定期講習は経済産業省が指定する講習機関で受講する必要があります。
開催日時や会場などは各講習機関によって異なりますので、経済産業所のWEBサイトをご確認ください。

 
 

3.第一種電気工事士の資格取得方法

 

第一種電気工事士の資格を取得するには「一般財団法人 電気技術者試験センター」 が実施する
「第一種電気工事士試験」に合格する必要があります。
電気工事士試験は学科試験と技能試験の2つで構成されています。
学科試験と技能試験の両方に合格し、先述した3年以上の実務経験の証明など所定の手続きを行うことで第一種電気工事士の免状が発行されます。
ここで注意したいのが、試験に合格しただけでは「第一種電気工事士」として電気工事に従事することはできません。


・受験資格

第二種電気工事士は年齢・学歴・職歴などの受験資格はありません。
そのため、誰でも受験することが可能です。
毎年、10代から60代まで幅広い年齢層の人が受験しています。


・試験日程

第一種電気工事士試験は2024年度から上期・下期の年2回、試験が実施されています。
2025年度の試験スケジュールは下記の通りです。
第一種の上期学科試験はCBT方式のみの実施となっていますので、筆記方式を希望する場合は注意しましょう。


  上期 下期
試験
申込期間
2月14日(金)

3月3日(月)
7月28日(月)

8月14日(木)
CBT会場
予約期間
3月10日(月)

4月7日(月)
7月中の約一週間
CBT方式
受験期間
4月1日(火)

5月8日(木)
9月1日(月)

9月18日(木)
CBT方式
合格発表
受験日の2週間後
マイページにて発表
受験日の2週間後
マイページにて発表
筆記方式
試験日
実施なし 10月5日(日)
筆記方式
合格発表
10月
試験センターホームページにて発表
技能試験 7月5日(土) 11月22日(土)
技能試験
合格発表
7月25日(金) 12月
試験センターホームページにて発表

・試験の申込方法と受験費用

申込方法は2種類あります。
申込方法によって受験費用が異なるため注意しましょう。

①インターネットによる申込
(一財)電気技術者試験センターのWEBサイトにてマイページを作成し、受験申込を行います。
マイページにて証明写真となる顔写真のデータを登録することができます。
インターネット申込では、受験費用は10,900円(非課税)です。
銀行振込、クレジットカード決済、コンビニエンスストア決済、Pay-easy決済が可能です。

②郵送による申込
受験案内に同封されている受験申込書に必要事項と証明写真を用意し、(一財)電気技術者試験センターへ郵送して受験申込を行います。
※郵送申し込みの際もCBT会場申し込みはインターネットでの申請が必要です。
郵送申込では、受験費用は11,300円(非課税)です。
支払方法はゆうちょ銀行振込のみです。


・試験の合格率

第一種電気工事士試験の合格率は次の通りです。


第一種電気工事士試験の合格率
  試験
申込者
合格者 合格率
2024年 40,046 17,004 42.4%
2023年 38,399 15,834 41.2%
2022年 43,059 16,672 38.7%

過去3年の合格率を見ますと、第一種電気工事士試験の合格率は40%に前後の合格率です。
第一種電気工事士も第二種と同様に、合格人数の枠が決まっているわけではなく、合格基準を満たせれば合格可能です。
合格基準も(一財)電気技術者試験センターより下記の通り公表されています。
学科試験:60点以上の点数であること
技能試験:欠陥のない施工ができていること

 

4.学科試験について

電気工事士試験ではまず初めに学科試験を受験し、それに合格する必要があります。
学科試験の出題内容や試験形式をご紹介します。

 

・試験内容

第一種電気工事士学科試験では次の項目から出題されます。
(一財)電気技術者試験センターのWEBサイトにて各項目の例題を確認することができます。


  • 【出題範囲】
  • 電気に関する基礎理論
  • 配電理論及び配線設計
  • 電気応用
  • 電気機器、蓄電池、配線器具、電気工事用の材料及び工具並びに受電設備
  • 電気工事の施工方法
  • 自家用電気工作物の検査方法
  • 配線図
  • 発電施設、送電施設及び変電施設の基礎的な構造及び特性
  • 一般用電気工作物等及び自家用電気工作物の保安に関する法令
  •  

    ・試験形式

    第一種電気工事士学科試験では、上期試験はCBT方式のみの実施、
    下期試験はCBT方式・筆記方式どちらかを選択して受験します。
    受験方式の違いによる試験の難易度に変わりはありませんが、試験日時や会場の自由度が異なります。

    ①CBT方式
    試験日時:CBT方式受験期間の中から日程・時間を選択
    試験会場:複数あるテストセンターの中から選択
    受験方法:試験会場のパソコンを使用
    採点結果:受験後すぐに確認可能

    ②筆記方式
    試験日時:試験センターが定めた筆記試験日、10:00に試験開始
    試験会場:試験センターが定めた試験会場(大学や研修センターなど)
    受験方法:マークシート
    採点結果:試験翌日公表される解答を基に自己採点

    問題数や試験時間などはどちらの受験方式も同じです。
    問題数:50問(1問2点)
    回答方法:4択の選択問題
    試験時間:140分
    合格ライン:60点以上

     

    5.技能試験について

    学科試験に合格しますと、次は技能試験に進みます。
    試験内容や出題形式、技能試験には欠かせないおすすめの工具セットなどをご紹介します。

    ・試験内容

    技能試験では、問題用紙と支給部材を用いて電気配線を作成します。
    工具は自分で用意をし、試験会場に持って行く必要があります。
    出題内容は電気技術者試験センターから毎年1月に公開される「候補問題」から出題されます。
    候補問題は全部で10問あり、試験当日では10問の候補問題の中からランダムで1問が出題されます。

    施工条件に付いて 第一種では、事前に公開されている候補問題の情報だけでは施工できず、
    試験当日に指定される施工条件をよく確認し、正しく理解する必要があります。
    電工試験の虎での解説は施工条件を予想して解説を行っておりますが、
    試験当日、予想とは異なる施工条件が出題される可能性が大いにあります。
    下記内容は施工条件で指定される内容となりますので、どのような条件が設定されても対応できるようにしておきましょう。

    【施工条件で指定される内容】
    器具の配置
    使用する電線の種類、太さ
    電線の接続方法(リングスリーブか差込形コネクタ)
    変圧器などの内部結線図や回路の展開接続図など
    連用取付枠の使用について
    電線管の使用・ボンド線の施工について
    電流計、電圧計の測定対象について

    ・試験形式

    出題数:1問
    試験時間:60分
    合格基準:欠陥に該当する施工ミスがないこと

    ・おすすめの工具セット・練習用部材セット

    先述した通り、技能試験を受験するには工具一式を持参する必要があります。
    第二種の受験後に第一種を受験する場合は、KIP線やより線の施工が増えるため、
    それに対応した工具を追加される受験者が多いです。

     

    ・おすすめの技能試験対策方法

    第一種電工試験の虎では、単位作業・候補問題の解説動画をご用意しています。

    • ①第一種技能試験のポイントと回路について

      まずは第一種技能試験で出題される回路のポイントを理解しましょう!
      各候補問題に取り組む前に一読されることをおすすめします。

    • ②単位作業の練習

      第二種で施工した単位作業に加えて、KIP線や押しボタンスイッチ、動力用コンセントなどの単位作業が増えます。
      施工方法や欠陥事例を確認しておきましょう!

    • ③候補問題の練習

      ①②を踏まえて候補問題に取り組みます。
      問題の確認、複線図、施工完了、見直しまで60分以内に行う必要があります。

    講習会のご紹介

    弊社主催の講習会はございませんが、弊社の工具を使用した他社様主催の講習会をご紹介しています。
    詳細については以下リンクからご覧下さい。

    日本エネルギー管理センター

    • 項目:第一種電気工事士コース
    • 会場:東京/大阪/名古屋

    電気資格対策センター

    • 項目:電気工事士試験対策講習会
    • 会場:東京/大阪

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