必要な工具
- ・リペアスタンド
- ・ヘッドチューブリーマ HTR-1 など
- «HTR-1用オプションカッター»
- ・690-XL ロープロファイルタイプヘッドチューブフェイシングカッター
- ・768 ロープロファイルタイプヘッドチューブパイロットアタッチメント
- ・756-S インテグラルタイプヘッドチューブリーマー & フェースカッター(Cane Creek®規格)
- ・758 ワンポイントファイブタイプヘッドチューブリーマー & フェースカッター
- ・761-S ヒドゥンセットタイプヘッドチューブリーマー & フェースカッター(Campagnolo®規格)
- ・750 アダプターコーン
- ・769 ヘッドチューブリーマエクステンション
- ・切削油
- ・脱脂剤
- ・ノギス
ここでは、フレームヘッドチューブのフェイシングとリーミング(内径の修正)について解説して行きます。
インテグラルタイプヘッドセットに関する詳細については、以下のページをご参照ください。
» Service of threadless headsets
» Cutting or sizing forks
» Machining the fork crown seat
» Headset types and nomenclature
» Installing threadless star-fangled nut
自転車のヘッドセットは、上下2つのベアリングとそれを保持するカップとコーン(玉押し)から成り立っています。これらのヘッドセットが正しく作動するためには、互いにフォークステアリングコラムに対して垂直、かつ平行に取り付けられていなければなりません。
そのためには、それらヘッドセットが取り付けられるヘッドチューブが、互いにフォークステアリングコラムに対して垂直、かつ平行になっていなければなりません。
フレームは、それぞれのパイプが溶接されていますので、製造時の熱などの要因によってわずかな歪みが発生します。そのため、ヘッドチューブの端面(フェイス)や内径を、適宜修正しなければならない場合があります。
フェイシング
ヘッドチューブの端面を切削加工する作業を「フェイシング」と呼びます。これらのフェイシング作業時に、正しく切削加工が行われているかどうかを確認しやすくするため、一般的にはペイントが用いられます。
新品の場合は、フレームに施された塗装をそのまま切削して行きますので、作業度合いがわかりやすいですが、すでに加工されている物などに関しては、新たにペイントマーカーなどでフェイス部に簡易的な塗装を施す事で、作業度合いの確認を容易にします。
このように、端面をヘッドチューブに対し完全に垂直の状態に加工する事で、ベアリングに対する不均等な荷重が発生せず、スムーズな回転を維持する事ができます。
右図では、時計の位置にしておよそ5時から6時の位置に当たる部分の塗装が残っています。また、切削時のバリが11時の当たりに残っています。
まず塗装がある部分は、他の部分より低い事が考えられますので、この塗装が完全に剥がれるまで更にフェイシング作業が必要な事を意味します。また、フェイシング作業を不十分な状態で終了させてしまったため、余分なバリが発生していますので、その部分は他の部分より高い事を意味します。
フェイシングを行う際には、このようなフェイスの不均等な状態を完全になくす必要があります。
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右図のヘッドチューブフェイスは、完全に垂直の状態に加工されています。
時計の位置にしておよび1時から2時の位置に当たる部分の塗装がわずかに残っていますが、ヘッドチューブの内側部(実際にヘッドカップが圧入され接触する部分)はフェイシングが完了しています。塗装が残っている部分は、フェイシングが完了している部分よりわずかに低い事を表しますが、このようなケースであれば、ヘッドセットに対する環境としては必要十分と言えます。
フェイシング作業の際、しばしばフェイスカッターが刃飛びしてしまったり、波を打ったような「チャッターマーク」が発生してしまう事があります。
これは、様々な要因が考えられます。
例えば、切削油の種類や量、作業速度やフェイスカッターにかけるプリロード圧はもちろん、作業するフレームの素材や塗装の量、厚みなどによって様々です。
そのため、できるだけ少しずつゆっくりと作業する事が望ましいと言えますが、一般的にこれらのチャッターマークは品質に大きな影響を与えないと言われています。
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リーミング
ベアリングが収まっているヘッドカップは、フレームのヘッドチューブに圧入されています。
ヘッドカップのフレーム挿入部は、ヘッドチューブの内径よりもわずかに大きめに設計されており、それぞれが嵌め合う形で保持させる仕組みです。
一般的に0.1~0.25mm以内であれば寸効公差範囲内と考える事ができますので、問題なく取り付ける事が出来ます。
しかしながら、ヘッドカップ側の外径とヘッドチューブ内径の差が0.3mm以上であれば、正しくヘッドカップを取り付ける事ができないだけでなく、ヘッドカップ、あるいはフレームを著しく損傷させる恐れがあります。
また、それらの差が0~0.05mm未満である場合、お互いに嵌め合う力が十分でない場合があります。
この場合、ヘッドチューブ側の内径を小さくする事はできませんので、ヘッドカップの外径寸法が大きめの物を探す必要があります。このような状態でヘッドカップを取り付けた場合、ヘッドカップにガタが発生し、ヘッドセットが正しく機能しないだけでなく、ヘッドカップとヘッドチューブの嵌め合い部がわずかに動くことによって、異音の原因となる場合があります。
HTR-1ヘッドチューブリーマ は、30.0mmリーマと4種類のアダプター(JIS、イタリアン、1-1 / 8”、1-1 / 4”)、およびそれらのヘッドチューブに対応するフェイスカッターと専用ハンドルが入り組みされています。
ヘッドチューブの内径を切削加工する必要が無い場合、アダプターを使用してリーマの代わりに取り付ける事でセンタリング出来る仕組みになっています。
左図は、ヘッドチューブ内径を調整する必要がある場合のセッティングです。
右図はフェイシングのみ行う場合のセッティングとなります。
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インテグラルタイプの切削加工
ヘッドカップを必要としない「インテグラルタイプ」と呼ばれる規格は、従来の規格とは全く異なります。
756-Sヘッドチューブリーマー & フェースカッターは、このようなインテグラルタイプヘッドシステムの標準的な規格となっている「Cane Creek規格」に準拠しています。同規格では、ベアリングが収まる座面の角度が45°、またベアリング外径が41mmとなっています。この規格に準拠しないその他のインテグラルタイプヘッドシステムには、絶対に使用しないでください。
756-Sヘッドチューブリーマー & フェースカッターは、上下一組で構成されています。それぞのカッターは同じように見受けられますが、カッターの高さが低いものがヘッドチューブの上側用になっており、ヘッドチューブの下側は、より深い切削加工ができるよう、カッターの高さが異なっています。これらのカッターは、それぞれの作業を行う際、一つずつHTR-1 に取り付けて作業します。
注意:切削加工を行う際、ハンドルなどがフレームと干渉しないように注意してください。
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作業を行う前に、切削加工を行う必要があるかどうか確認します。これは、インテグラルタイプヘッドシステムが、ヘッドカップを必要としない点に起因しますが、切削加工を行った場合、作業に失敗があるとフレームが使用できなってしまう事になります。そのため、作業前の切削加工の必要性の確認は十分に行ってください。
まず、使用するベアリングをヘッドチューブ内に装着します。両手の親指を使用して、ベアリングを上下左右あらゆる方向に押したり、ベアリングを回転させる事で、ヘッドチューブとベアリングの公差を確認する事が出来ます。ガタや引っかかり、あるいは装着したベアリングの回転が著しく重いなどの不具合がある場合、これらの切削工具を使用して修正を行ってください。
注意:これらの切削加工は、フレームメーカーによっては保証対象外となる場合があります。状況を十分に判断し、加工の必要性がある場合、フレームメーカーに加工の可否について確認する事をお勧めします。
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