必要な工具
ここでは、以下の製品に採用されているエクスターナルベアリングクランクシステムの着脱について解説しています。
これらは、ボトムブラケットとベアリング、およびクランクアームとスピンドルが一体化されているシステムです。
スピンドルはクランクアーム(ドライブ側)に装着されており、反対側のクランクアームは、ボトムブラケットシェルに取り付けられたベアリングカップを通じて挿入されたスピンドルに取り付けられます。
これらのシステムを採用している代表的なクランクセットは、Hollow Tech Ⅱ( Shimano®), X-Type( Race Face®), Mega Exo( FSA®), Giga X Pipe( Truvativ® / SRAM®)です。
これらのエクスターナルベアリングクランクシステムに使用されるベアリングカップの装着には、大きく分けて2つの方法が存在します。
1つは従来通り、ネジによる装着。もう1つはベアリングカップをフレームに直接圧入する方法があります。
それぞれのベアリングカップは使用するフレームによって、指定されたものを使用しなければいけません。
詳しくは、使用するフレーム、およびクランクセットの取扱説明書を確認してください。
フレームの下準備
これらのエクスターナルベアリングクランクシステムの装着において、左右のベアリングカップが完全にセンターが出た状態で装着されていなければならず、万一、ベアリングカップの装着が不十分な場合、スピンドルが真っすぐに保持できず、クランクの回転性能を著しく低下させるだけでなく、異音発生の原因になったり、ベアリングやその他の部品の耐久性を著しく低下させる恐れがあります。
そのため、フレームのボトムブラケットシェルについて、高い精度が要求されることも特徴の一つです。
ボトムブラケットシェルの修正関連の詳細については、以下のページをご参照ください。
» ボトムブラケットのタッピング、およびフェイシング
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【ベアリングカップの装着】
使用するベアリングカップの左右に注意し、ベアリングカップにスレッドコンパウンドやグリスを塗布し、使用するボトムブラケットシェルのサイズによって、各ボトムブラケットメーカー指定のスペーサーをベアリングカップに取り付けて、ParkTool BBT-9 ボトムブラケットツール を使用して、ボトムブラケットシェルに装着します。
取り付けに必要なスペーサーの取り付け位置、取り付け枚数などは以下の表をご参照いただくか、各ボトムブラケットの取扱説明書をご確認ください。
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下の表は、シマノ XTR, XT, SAINT (FC-M960, FC-M760, FC-M800 )、Race Face X-Type, FSA Mega Exoに使用されるベアリングカップを68mmと73mmのボトムブラケットシェルに装着する際のスペーサーの使用方法について解説しています。
また、Eタイプフロントディレーラー、ISCGチェーンデバイスシステムなどについても表記しています。ご使用になるフレームの仕様をご確認いただき、ベアリングカップを正しく装着してください。
BBシェル幅 |
フロントディレーラー、 チェーンデバイス |
ノンドライブ側 (左側) |
ドライブ側 (右側) |
68mm |
バンド、直付 |
2.5mm × 1 |
2.5mm × 2 |
68mm |
E-Type |
2.5mm × 1 |
2.5mm × 1 |
68mm |
チェーンデバイス |
2.5mm × 1 |
2.5mm × 1 |
73mm |
バンド、直付 |
No spacer |
2.5mm × 1 |
73mm |
E-Type |
No spacer |
No spacer |
73mm |
チェーンデバイス |
No spacer |
No spacer |
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注:シマノXT (FC-M761)には、チェーンケース装着車に対応できるよう、2.5mm以外のスペーサーが付属されています。
これらのスペーサーの使用方法について、製品の取扱説明書をご確認ください。
注:シマノ製Dura-Ace (FC-7800またはFC-7803)は、ベアリングカップを装着する際にスペーサーを必要としません。
Shimano® Hollowtech II
右図は、シマノXTR(FC-M960) Hollowtech Ⅱです。
ロード用クランクセットのDura-Ace(FC-7800/7803)と外観上は大変良く似ていますが、異なるベアリングカップを使用しており、ボトムブラケットシェルにベアリングカップを装着する際、スペーサーを使用しないDura-Aceに対して、こちらはスペーサーを使用してボトムブラケットシェル幅に合わせて調整する必要があります。
チェーンリングが装着される車体右側に装着されるクランクアームに大口径のスピンドルが取り付けられており、ベアリングカップを通して車体左側に突出したスピンドルのスリーブに合わせて左側のクランクアームが装着される構造です。
左側のクランクアーム中心にはクランクキャップが装着されていますが、これはクランクアーム自体を保持するものではく、取り付けられたクランクセットとベアリングカップとの隙間調整に使用されるもので、クランクセットは左側のクランクアーム付け根にある2本のピンチボルトで固定されています。
ベアリングカップを装着後、スピンドルの表面に軽くグリスを塗布し、右側クランクを車体右側からベアリングカップより挿入します。
この時、スピンドルがスムーズに左右のベアリングカップを通ることが理想的ですが、木槌などでクランクアームの挿入を即しても挿入が困難な場合は、左右のベアリングカップの装着精度が基準を下回っている可能性があります。その際は、ボトムブラケットシェルのネジ、およびフェイスを修正する必要があります。
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右図のように車体左側にスリーブのついたスピンドル先端が突出したら、クランク装着部に軽くグリスを塗布し、左側クランクを装着します。
この時、スピンドルの一部に穴が合いますが、その穴とクランクの切り込み部を合わせるように装着すると正しくクランクを装着することができます。正しく装着されたクランクアームは左右で互い違いに180度水平の状態になっているはずです。
クランクキャップに軽くグリスを塗布し、指定トルクでスピンドルに装着します。
重要事項:このクランクキャップはクランクアームとベアリングカップの隙間を調整するためだけのものです。強く締めすぎるとベアリングに対して過剰な圧力を発生させ、回転性能を著しく低下させる恐れがありますので指定トルクを守り、正しく装着してください。
装着の際には、ParkTool BBT-9 ボトムブラケットツール に付属しているクランクキャップツールを使用します。
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六角レンチを使用して、クランクアーム根元のピンチボルトを締めつけてクランクアームを固定します。
2本のボルトが交互に装着されていますので、均等に締めつけるように注意します。
注:一方のピンチボルトだけを締めつけると、適正な締め付けトルクや固定力を得られないだけでなく、ボルトやクランクアームを破損する恐れがあります。
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【取り外し】
重要事項:最初にクランクアーム根元のピンチボルトを交互にゆるめます。
次にクランクキャップを取り外し、クランクアーム根元の切り込みに装着されているはずれ止めプレートを上方にずらして左側クランクアームを取り外します。
左側クランクアームを取り外したら、右側クランクアームを引っ張って取り外します。
適宜、木槌などでスピンドル先端を傷付けないようにしながら、右側クランクアームの取り外しをサポートすることも有効です。
左右のベアリングカップはParkTool BBT-9 ボトムブラケットツール を使用し、それぞれ取り外します。