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外装式ディレーラーへのチェーンの取り付け

必要な工具

ここでは、外装式ディレーラーシステムにおけるチェーンの取り付け方法について解説しています。

次の内容に関する詳細については、以下のページをご参照ください。

»適切なチェーン長の設定
»チェーンの取り付け Chain Installation
»チェーンの清掃 Chain Cleaning
»タンデム車のチェーンの張り調整

チェーンとは、インナープレート、ローラー、アウタープレートをチェーンピンで接続した部品を連続的に構成させたものです。

アウタープレートのチェーンピン挿入穴は、チェーンピンの外径よりもやや小さく、両側のアウタープレートにチェーンピンが嵌めあう事で固定されており、インナープレート、およびローラーはチェーンピンの外径に対してやや大きく、自由に可動することができます。そのため、新品のチェーンといえども、それぞれの部品にはわずかな「遊び」があることが前提となります。

チェーンは、使用していくに従い必ず消耗していきます。これは、インナープレートやローラー、チェーンピンのそれぞれが引っ張られることによって磨耗し、それぞれの接合部の「遊び」が大きくなり、「伸びた」状態といわれていますが、実際にそれぞれの部品の長さが変わるわけではありません。

このように伸びた状態のチェーンは、スプロケットとのかみ合わせが悪くなり、変速不良などの動作不良を引き起こす場合があります。これらのチェーンの消耗度合いを確認するには、ParkTool CC-2 CC-3.2 チェーンインジケーター などの計測工具を使用します。

新しいチェーンに交換する際は、使用する自転車に適した長さに調整しなければなりません。

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チェーンの取り外し、もしくは取り付けの際は、必ずチェーンカッターを使用しなければなりません。チェーンカッターは、実際にチェーンを切断する工具ではなく、それぞれのリンク部品を固定しているチェーンピンを押し出すことで、チェーンの切断ができるよう設計されています。

ParkTool製チェーンカッターのように、いくつかのチェーンカッターには複数のチェーン設置場所を備えているものがあります。その場合、メインの設置場所は、実際にチェーンピンを押し出すためにチェーンを設置するためのものであり、もう一方は、チェーンの動きが渋い場合の調整が必要なチェーンを設置するものとなっています。

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ParkTool CT-3.3 CT-5 は、一般的な多段用ナローチェーン専用(3 / 32”)、CT-2は、一般車用チェーンにも対応可能(3 / 32”、1 / 8”)、CT-7においては、BMXなどに使用される厚歯チェーン用(1/8”、3/16”)としてそれぞれ設計されています。作業されるチェーンによってチェーンカッターが異なりますので、注意が必要です。

注意:使用するチェーンに対応していないチェーンカッターを使用した場合、チェーンの破損、もしくはチェーンカッターの破損の原因となります。

チェーンの取り付けを行う際、最も注意しなければならない事は、接続するチェーンピンの圧入不良です。一般的に、走行中のチェーン切れの最大の要因は、チェーンピンの圧入不良と考えられています。特に近年の多段化に伴い、チェーン自体の厚みがどんどん薄くなり、チェーンピンも短くなっています。さらに、アウタープレートの厚みも薄くなることから、チェーンの左右で均等にチェーンピンが圧入されるように調整する必要がありますが、この作業を確実に行わないことによるチェーン切れトラブルが発生しやすくなっています。

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接続されているリンク部でも、プレートが曲がっていたり、ローラーが破損しているなどの可能性がありますので、十分に確認を行ってください。

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シマノチェーンの注意点

互換品を含むシマノチェーンは、チェーンピンの端部をフランジ状に加工することで強度を増し、変速時にチェーンがこじられることによるチェーン切れの発生を抑える設計になっています。これらのチェーンピンは、チェーンカッターで押し出される時、フランジ状に加工された端部が折れるようになっています。そのため、一度押し出したチェーンピンは再利用することができません。

右図は、チェーンから押し出したチェーンピンを投影機で拡大したものです。下側がチェーンカッターを当てる反対側のチェーンピンの端部、上側がチェーンカッターによって押される側の端部となっています。このように、チェーンピンの端部は本来両側でフランジのようになっていなければなりませんが、チェーンピンが押し出されることで一方の端部が破壊されることを表しています。

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前述の通り、一度押し出したチェーンピンは再利用ができません。そのため、シマノチェーンではリンクの再接続の際、アンプルピンと呼ばれる特殊な専用ピンを使用します。これらの専用ピンは、実際にリンク部を固定する部分の他に、接続の際のガイドとなるパイロット部を備えています。実際にこれらの専用ピンを使用してリンク部を固定した後、パイロット部を折り取る必要があります。シマノチェーンを使用する際は、必ずシマノが指定する専用のアンプルピンを使用しなければなりません。

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シマノチェーン用のアンプルピンには、いくつかの種類が存在します。7、8速用のアンプルピンは黒色、9速用のアンプルピンは銀色、またCN-7800用アンプルピンにはパイロット部先端に1本の溝が入っており、更にCN-7801用アンプルピンには、パイロット部先端に3本の溝が入っています。これらのアンプルピンは必ず専用のものを使用しなければなりません。また、10速用アンプルピンは、原則的に交換することができません。

A= 7,8速用アンプルピン
B= 9速用アンプルピン
C= 10速用アンプルピン(CN-7800用)
D= 10速用アンプルピン(SN-7801用)

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シマノチェーンの切断作業手順

  • 1. 隣接する同一形状のチェーンピンを選択します。この時、あらかじめ圧入されたアンプルピンやその隣にあるチェーンピンを選択しないように注意します。
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一部のシマノチェーンでは、通常のチェーンピンとアンプルピンの形状が良く似たものが存在しますので、注意してください。

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  • 2. チェーンカッターの切断用チェーン設置場所に、押し出すチェーンピンが真ん中に来るようにセットします。
  • 3. ゆっくりとチェーンカッターのハンドルを時計方向に回転させ、チェーンピンに対して真っ直ぐチェーンカッターピンを当てがいます。
  • 4. チェーンカッターのハンドルを更に回転させると、徐々にチェーンピンを押し出していきますので、リンク部から完全にチェーンピンが外れるまで押し出します。
  • 5. チェーンカッターのハンドルを半時計方向に回転させ、チェーンから取り外すとチェーンを切断することができます。
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シマノチェーンの接続作業

  • 1. チェーンピンは完全に押し出されているため、チェーンの接続作業を効率的に行うために、チェーンフックなどのユーティリティーツールを利用することができます。
  • 2. 接続するリンク部に指定のアンプルピンを挿入します。この時、先端が細くテーパー状になっている方を先に挿入します。
  • 3. チェーンカッターに接続するリンク部を設置し、アンプルピンに対して真っ直ぐにチェーンカッターピンが当たるようにします。
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  • 4. チェーンカッターのハンドルを時計方向に回転させ、ゆっくりとアンプルピンをリンク部に圧入していきます。
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  • 5. アンプルピンが外側のアウタープレートぎりぎりになるまで、圧入を続けます。
  • 6. チェーンをチェーンカッターから取り外し、圧入されたアンプルピンを確認します。パイロット部は完全にチェーンの反対側に飛び出し、チェーンピンが左右のアウタープレートに対して均等に架かっている状態にします。万一、均等にアンプルピンが架かっていない場合、調整が必要です。
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  • 7. アンプルピンのパイロット部をペンチなどで折り取ります。ParkTool CT-3、CT-5 などは、チェーンカッター先端の溝を使用して、アンプルピンのパイロット部を折り取ることができます。再度、チェーンピンが左右のアウタープレートに対して均等に架かっているか十分に確認します。
  • 8. 再度チェーンを切断する必要がある場合、一度切断し、接続した場所は絶対に使用しないようにします。これは、作業を複数回行うことにより、リンク部の強度が不足してしまう可能性が考えられます。そのため、アンプルピンを使用して接続した箇所と異なる場所で作業行います。
  • 9. 接続したリンク部の動きが渋くないかを確認し、適宜修正を行います。リアディレーラーをトップ側に移動させ、クランクを逆転させた時、不用意にチェーンが跳ねたり、脱落したりしないかを確認します。接続したリンク部の動きが渋い場合、以下のページをご参照ください。

» 動きの渋いチェーンの修正
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従来のタイプのチェーンの切断

多段式の中でもアンプルピンなどの専用ピンを使用しない従来チェーンは、主に軽快車などに使用されています。これらのチェーンを切断する際には、原則的にチェーンピンを再利用します。

  • 1. 「マスターリンク」と呼ばれる特殊な接合部品が使用されている場合、メーカーの指示に従ってマスターリンクを取り外します。
  • 2. マスターリンクが使用されていないチェーンの場合、切断するリンク部をチェーンカッターに設置します。
  • 3. チェーンカッターピンをチェーンピンに真っ直ぐに当て、ハンドルを時計方向にゆっくりと回転させます。
  • 4. これらのチェーンにおいては、チェーンピンを再利用するため、全て抜ききらず、チェーンピンが押し出される側のアウタープレートに僅かにチェーンピンが残るまで、チェーンカッターのハンドルを時計方向に回転させます。ParkTool製チェーンカッターの場合、時計方向に約5回転で適切な位置にチェーンピンを押し出すことができるように設計されています。
  • 5. チェーンピンを所定の位置まで押し出したら、チェーンカッターのハンドルを半時計方向に戻し、チェーンを取り外します。
  • 6. 下図のように、チェーンを両手で保持し、矢印の方向にチェーンを優しくこじりながら、左右に引っ張ります。
  • 7. 静かにチェーンは切断され、切断されたアウタープレートにチェーンピンが残っていることを確認します。

注意:激しくこじらなければチェーンが切断できないような場合は、チェーンピンの押し出し量を増加させてください。必要以上にチェーンをこじると、アウタープレートが破損する可能性があります。

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従来のタイプのチェーンの接続

  • 1. 押し出されたチェーンピンが作業側になるようにチェーンの向きに注意してドライブトレインに取り付けます。
  • 2. 取り外すときの反対の要領で、チェーンピンが架かっていない側のアウタープレートを僅かにこじ開け、チェーンを滑り込ませるように挿入します。僅かにアウタープレートの内側に残っているチェーンピンがインナープレートの穴に嵌るまでしっかりとチェーンを合わせます。
  • 3. チェーンカッターのハンドルを半時計方向に戻し、押し出されたチェーンピンに真っ直ぐ当たるように接続するリンク部をチェーンカッターに設置します。
  • 4. ゆっくりとチェーンカッターのハンドルを時計方向に回転させ、チェーンピンをリンク内部に押し込んでいきます。反対側のアウタープレートにチェーンピンを押し込む際、チェーンピンとアウタープレートの穴がしっかりとセンタリングされているかどうかを確認しながら作業します。万一、それらがずれていた場合、アウタープレートが破損する恐れがあります。
  • 5. チェーンピンが左右のアウタープレートに対して均等に架かっている状態にします。万一、均等にチェーンピンが架かっていない場合、調整が必要です。
  • 6. 接続したリンク部の動きが渋くないかを確認し、適宜修正を行います。リアディレーラーをトップ側に移動させ、クランクを逆転させた時、不用意にチェーンが跳ねたり、脱落したりしないかを確認します。接続したリンク部の動きが渋い場合、以下のページをご参照ください。

» 動きの渋いチェーンの修正
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マスターリンクを使用したチェーンの着脱

近年、多くのチェーンメーカーが採用している「マスターリンク」は、その多くが専用の工具を必要とせず、簡単にチェーンの切断、および接続が可能なシステムです。それぞのメーカーによって、接続の方向が指定されている場合がありますので注意してください。

マスターリンクを使用してチェーンの着脱を行う際、マスターリンクが接続部のアウタープレートの役割を持っていますので、接続されているチェーンの端は必ずインナーリンク同士とならなければなりません。

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接続の際、片側のマスターリンクをいずれかのインナーリンクに装着します。また反対側のインナーリンクにはもう片方のマスターリンクを装着し、それぞれのマスターリンクに引っ掛けるようにして取り付けます。次に、マスターリンクを完全にロックするため、接続部を下図の位置に移動させ、ブレーキをかけた状態でペダルを踏み込むとチェーンが引っ張られることでマスターリンクがロックする仕組みになっています。

注意:メーカーによって、マスターリンクの再利用ができないものが存在します。必ず各メーカーの指示にしたがってください。

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カンパニョーロ10スピードチェーンの接続作業

カンパニョーロのチェーンを接続する場合、「HD-Link」と呼ばれるシステムを使用する必要があります。これは、接続に使用するための短いチェーンと専用のチェーンピン2本が入り組みされており、チェーンを切断して必要な長さを調整する際に、HD-Linkの長さを考慮して設定する必要があります。

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HD-Linkの両端は、必ずアウタープレートとなっていますので、長さを調整した後のチェーンの両端は、必ずインナープレートになっている必要があります。
長さを調整したチェーンにHD-Linkを専用チェーンピンを使用して接続します。この時、専用チェーンピンは自転車の内側(ホイール側)から外側に向かって挿入します。

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チェーンピンを圧入する際、チェーンがチェーンカッターから浮き上がらないように、下図のようにしっかりとチェーンを抑えながら作業すると良いでしょう。

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チェーンピンがしっかりとリンク部に圧入された事を確認し、チェーンカッターを取り外します。その後、チェーンの外側に飛び出しているパイロット部を抜き取ります。
接続したリンク部の動きが渋くないかを確認し、適宜修正を行います。

チェーンの取り外しや再取り付けを行う際、必ずチェーンを洗浄することをお勧めします。
また、一度接続したチェーンを取り外し、再度取り付けを行う場合、以前接続を行っていたリンク部とは異なる場所で切断、接続を行う必要があります。原則的に以前接続を行っていリンク部においては、固定力低下の恐れがありますので、再利用することはできません。

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ディレーラーへのチェーンの取り付け

チェーンを接続する前には、必ずフロント、およびリアディレーラーを経由しなければなりません。チェーンを各ディレーラーに挿入する前に使用するチェーンの長さが適切であるかを確認してください。
チェーンの適切な長さについては、以下のページをご参照ください。

» 適切なチェーン長の設定
  • 1. シフトレバーを操作し、前後のディレーラーを最も小さなギアの位置に移動させます。
  • 2. 下図のようにリアディレーラーのテンションプーリー(下側のプーリー)を上方に向け、スプロケット側にチェーンを挿入しガイドプーリーに向かって沿わせていきます。この時、シマノチェーンの場合、接続するリンク部のインナープレート側から挿入するように推奨しています。

注意:リアディレーラーを通過するチェーンは、ディレーラーケージのいかなる部分にも触れてはいけません。特にテンションプーリーとガイドプーリーを通過するチェーンが、ディレーラーケージの脱落防止ツメに乗り上げて通過しているケースが多く見られます。

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正しいチェーンのルーティング例
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不適切なチェーンのルーティング例
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  • 3. 正しくリアディレーラーのケージ内にチェーンを通過させることができたら、チェーンを引っ張ります。
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  • 4. フロント側のディレーラープレート内にチェーンを通過させ、インナーチェーンリング(最も小さなチェーンリング)にチェーンを掛けていきます。
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  • 5. リアディレーラー側に残ったチェーンとフロント側のチェーンを下図の位置で合わせ、それぞれのチェーンに指定される方法で接続します。
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