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フォーククラウンレースの切削

必要な工具

ここでは、フロントフォーククラウンのフェイシングについて解説して行きます。

次の内容に関する詳細については、以下のページをご参照ください。

» スレッドレスタイプヘッドセット Threadless Headsets.
» スレッドタイプヘッドセット Threaded Headsets.
» フォークステアリングコラムの長さとサイズ
» ヘッドチューブのフェイシングとリーミング
» ヘッドセットのタイプ Headset Type
» スターファングルナットの圧入 Installing Star Fangled Nut with TNS.

下玉押しとフォーククラウン

ヘッドセットの下玉押しは、フォークステアリングコラムの根元に取り付けられています。それら下玉押しの多くは「圧入」によってフロントフォークに取り付けられており、下玉押しとステアリングコラムのサイズがしっかりと適合しているかが、大変重要なポイントとなります。

一般的には、下玉押しの内径とステアリングコラムの外径の差が0.05~0.15mm以内にあれば許容範囲と考える事ができます。万一、その差が0.05mm未満の場合は、嵌めあう力が弱いために下玉押しが不安定になり、ヘッドセットのガタなどの要因になります。また、その差が0.15mmより大きい場合は、下玉押しやフステアリングコラムが破損してしまう恐れがあります。

そのようなケースの場合、ステアリングコラムを正しいサイズに修正する必要があります。

フォーククラウンレースのサイズを変更しなければならない場合、少々大変な作業が必要かもしれません。

例えば、JIS規格のフォーククラウンレースサイズは27.1mmとなっていますが、26.4mmにサイズダウンしなければいけない場合、クラウンレースカッターを使用して0.7mmを切削して行く必要があります。この作業は、大変な労力を伴いますが、ParkTool CRC-1 の使用においては、正確に作業する事ができます。

※画像をクリックすると拡大できます

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下玉押しを正しくフォーククラウンレースに圧入するためには、フォーククラウンレースがステアリングコラムに対して垂直な座面を確保できているかどうかが大変重要な要素になります。

万一、フォーククラウンレースが正しい座面を確保できていない場合、フレームに取り付けられたヘッドカップとベアリングに対して、下玉押しが歪んだ状態で当たるため、ヘッドセットの回転が著しく重くなったり、引っかかりが発生するなど正しく機能しないだけでなく、ベアリングを著しく損傷する場合があります。

これは、フロントフォークへの塗装などが大きく影響している事が考えられます。一見、正しい状態に見えるフォーククラウンレースも、実際にクラウンレースカッターを使用して、ステアリングコラムに対して垂直に切削加工を行っていくと、下図のように削れる部分とそうでない部分が現れてくる事がわかります。

これは、削れている部分に多く塗装が塗られている事が考えられますので、必然的に塗装が削れ始めた部分は、そうでない部分よりも高い事になります。
このようにクラウンレースがステアリングコラムに対して正しく垂直が出ていない場合は、クラウンレースカッターを使用してフェイシングを行う必要があります。

ParkTool CRC-1 クラウンレースカッター は、ステアリングコラムの外形とフォーククラウンレースを一度に正しい状態に切削できる工具です。

CRC-1 には2つのカッターが付属しており、1つは1インチサイズ用のカッターとして、26.5mmと27.1mmに対応可能な両面タイプになっています。
もう1つは1-1 / 8インチ(オーバーサイズ)用カッターとして、30.1mmに対応する片面タイプになっています。

これらのカッターをステアリングコラムに対して垂直に工具を保持するため、ボディー内部にセンタリングコレットを内蔵しており、作業者は正確に作業を行う事が可能です。

作業を行う際は、フロントフォークをベンチバイスなどにしっかりと固定するか、使用しないホイールをフロントフォークに装着し、フォークに傷がつかないようウエスなどで保護した上で、ホイールを両足で挟み込むように保持しながら作業する事も可能です。

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作業手順

  • 1. 使用するフロントフォークのステアリングコラムの直径とヘッドセットの下玉押しの内径をノギスで計測し、正しいサイズのカッターを選択し、CRC-1 のボディーに取り付けます。
  • 2. ステアリングコラムに対して適切なセンタリングコレットをボディーに取り付けます。1インチ用は黒色、1-1 / 8インチ用は青色のセンタリングコレットを使用します。
    この時、センタリングコレット調整キャップは十分に緩めた状態にしてください。
  • 3. ステアリングコラムとCRC-1 の遊びを取るため、センタリングコレット調整キャップをゆっくりと時計方向に締めていきます。
  • 4. CF-1などの切削油をカッターにたっぷりと塗布します。
  • 5. 下方向に一定の圧力をかけながら、静かにCRC-1 を時計方向に回転させます。この時、下方向に下げる力と回転させる力の割合は4:6程度で作業を行います。
  • 6. CRC-1 がフォーククラウンレースに着座するまで回し続けます。
  • 7. 途中、センタリングコレット調整キャップを緩め、切削状態を確認し、適宜再度センタリングコレット調整キャップを締めて作業を行います。
  • 8. クラウンレースが完全に垂直になった状態を確認したら、CRC-1 をステアリングコラムから取り外します。

注意:全ての切削工具は著しく消耗するため、再研磨が必要になります。金属で金属を切削している以上、カッターの消耗は想像をはるかに上回ります。作業者の技術レベルや使用環境、切削するフレームの素材、切削油のタイプや量など様々な要素によって、カッターの消耗度には差が生じます。
しかしながら、必ず消耗して行くカッターは、最低でも1年に1度は状態を確認し、適宜再研磨をおこなう必要があります。